Bushman Blues Shifter (ブッシュマン ブルースシフター)

2026年6月、約20年ぶりにハーモニカを購入しました。
選んだのは、アメリカのBushman(ブッシュマン)が販売するGame Changerシリーズのひとつ、Blues Shifter(ブルースシフター)です。
一見すると近未来的で奇抜な形状ですが、ありそうでなかったちょっと面白いハーモニカなのです。
Blues Shifterとは?
Blues Shifterは、10穴のダイアトニックハーモニカ、いわゆる「ブルースハープ」にスライドバーを組み合わせたハーモニカです。
通常のダイアトニックハーモニカは、基本的に10個の穴に決められた音が配置(リヒターチューニング)されています。ベンドなどの特殊な奏法を使わない限り、すべての半音を自由に出すことはできません。
一方、Blues Shifterはリヒターチューニングをベースにしながらスライドバーを備えており、スライド操作によって音程を半音上げることができます。
そのため、一般的なダイアトニックハーモニカよりもはるかに多くの音を演奏することができます。
クロマチックハーモニカとの違い
スライドバーを備えているという点だけを見ると、クロマチックハーモニカに近い楽器に思えます。
しかし、大きな違いがあります。
一般的なクロマチックハーモニカには息もれ防止のバルブが使われていますが、Game Changerシリーズにはバルブがありません。
そのため、基本的にはダイアトニックハーモニカと同じように、ベンドを自由にかけることができます。
つまり、
「スライドによる半音階」+「ダイアトニックハーモニカのベンド」
という、欲張った特徴を一台に持たせたハーモニカなのです。
「正確な半音階を演奏できる一方で、ベンドによる音程変化や表情も付けられる」
こう考えると、まさに「Game Changer」という名前にふさわしい、ありそうでなかったハーモニカです。
Game Changerは3種類のチューニング
Game Changerシリーズには、青・赤・黄の3色のコム(ボディ)があり、それぞれ音の配列が異なります。
- 青:ブルースチューニング(リヒターチューニング)
- 赤:POPチューニング(パディ・リヒターチューニング)
- 黄:ソロチューニング(クロマチックハーモニカと同じ配列)
今回購入したBlues Shifterは、青のブルースチューニングをベースにしたモデルです。
ただし、単純に通常のリヒターチューニングにスライド機構を追加しただけではなく、スライドを使ったときの音が一部調整されています。

BushmanとJDR Trochilusの関係
ところで、Bushman Game Changerについて検索していると、中国のJDR社が製造するTrochilus(トロキラス)シリーズも見つかります。
実は、Bushman Game ChangerはこのTrochilusをベースにしたリブランド商品で、Blues ShifterもBushman向けのOEM製品です。

Trochilusという名前の由来でもある「ハチドリ」のような特徴的な形状は、単なるデザイン上の特徴ではありません。
実際に手に持ってみると、この形状がなかなかよくできています。
持ちやすさは意外に良い
一般的な10穴のダイアトニックハーモニカよりは少し大きめですが、クロマチックハーモニカと比べればかなりコンパクトです。

男性の手なら両手で十分に包み込むことができ、ハンドビブラートも問題なくできます。
ダイアトニックハーモニカから持ち替えるときは若干慣れが必要ですが問題ありません。実際に手に持ってみると意外なほど自然に扱えて、人間工学的によくできてるなぁと感心します。
音量は十分、ベンドもかけやすい
ボディは樹脂製なので、息漏れもなく、軽い吹き吸いでも立ち上がりの良い十分な音量が出せます。
ベンドもかけやすく、ダイアトニックハーモニカらしいブルージーな奏法も、もちろん可能です。
ただし、音質については好みが分かれるかもしれません。
クロマチックハーモニカのようなふくよかで厚みのある音ではなく、どちらかというとピーピーとした硬質な音です。
個人的には嫌いではないですが、好みはわかれるかな。
スライドバーは非常に軽い
Blues Shifterのスライドバーは、とても軽く動きます。
スライドを多用する演奏では、この軽さは大きなメリットでしょう。
ただし、購入直後は少し気になる点もありました。
スライドの潤滑オイルをかなり使っているのか、開封後しばらくは油の臭いを感じます。
もっとも、これはしばらく使っていれば気にならなくなる程度のもので、「まあ、中国製品のご愛敬」でしょう。
「リヒター+スライド」の生かし方がわからない
しばらく練習してみましたが、今のところ、Blues Shifterの最大の特徴である「リヒター配列+スライドバー」の特長を十分に生かした演奏はできていません。
そもそも、実際の演奏でスライドをどのように使うのかという問題があります。
例えば、セカンドポジションでブルースを演奏しているときに、ある音をスライドインして半音上げる、という使い方は、意外と場面が限られそうです。「半音が出せるから便利」というだけでは、このハーモニカの面白さを十分に引き出せるのかは疑問です。
クロマチックの奏法にベンドを組み合わせるのが面白そう
現時点では、一般的なメロディを演奏しながら、スライドによる半音階とベンドによる音程変化を組み合わせて、音に表情を付けるという使い方が、Blues Shifterには合っているように感じています。
通常のクロマチックハーモニカなら、正確な半音階を演奏することができます。
一方、ダイアトニックハーモニカなら、ベンドによって独特の音程変化や表情を付けられます。
Blues Shifterは、その両方を一台で実現しようとした楽器です。
ただ、両方の機能を持っているからといって、すぐに両方を自在に使えるわけではありません。
むしろ、どのようなフレーズでスライドを使えば効果的なのかを探すこと自体が、このハーモニカの面白さなのかもしれません。
まずはクロマチックハーモニカの基礎から
とはいえ、そもそも僕はクロマチックハーモニカに一度挫折したままでした。
まずはクロマチックハーモニカの基礎からやり直し。
Blues Shifterを使いこなせるようになるのは、まだ少し先になりそうです。




