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「パッチギ」と「イムジン河」(映画)

2004年公開の井筒和幸監督の大傑作です

舞台は1968年の京都。
民族版「ロミオとジュリエット」といわれれば確かにその通りなのですが、在日一世の思いや、日本に生まれて尚脈々と流れる民族意識に、韓流ブームを体験した僕たちならなおさら思うところのある名作です。

映画の評論はさておき、音楽的に注目すべきは、やはりモチーフとなっている「イムジン河(イムジンガン)」でしょう。

この歌は「帰ってきたヨッパライ」で衝撃的なデビューを飾り、たった1年の活動で伝説を作った「フォーク・クルセダーズ」の幻のセカンドシングルです。

「イムジン河」は原案を書いた松山猛氏が友人から教わり、フォークルに歌うように勧めた事からレパートリーに加えられたのですが、
レコーディング後、発売直前になって北朝鮮の朴さんという方の著作と分かり、政治的な圧力(?)で急遽発売中止となりました。

抗議の意味もあったのでしょうか、加藤和彦が「イムジン河」のテープを逆回転したメロディーから曲を作り発表したのが、劇中にも使われている「悲しくてやりきれない」です。

ところで、何度も劇中で歌われる「イムジン河」ですが、途中本物のフォーク・クルセダーズの声で歌われているのにお気づきでしょうか?

「放送禁止(自粛)」などという言葉があったのも今は昔、「歌っていけない歌などない」「越えられない河に橋をかけよう」の思いが、今この時代になって少しづつ、ほんの少しづつ実現に向かい始めたと思いたいです。そして、やっと、やっと日の目を見たこの名曲に拍手です。(サントラには67年解散コンサートの際の未発表音源が収録されています。)

ラスト・シーンで生まれた赤ん坊は、ちょうど僕と同じ世代。
「戦争を知らない子供たち」のさらに子供なのです。

本当に「イムジン河に橋がかかる」のはまだまだ先の話なのでしょうか?

関連ページ フォーク・クルセダーズ

パッチギ!

パッチギ!

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この記事を書いた人

12才よりギターを始めキャリアは30年以上。
20代半ばでブルースに目覚め、集めたCDは100枚を超える。

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