リトル・ウォルターの名盤感想
「J-POPの生ぬるい”はーもにか”に慣れた耳にガツンとねじ込んであげたい。」
9曲目の”オフ・ザ・ウォール”を聞きながらそんなことを思ってしまいました。
リトル・ウォルターは「アンプリファイド奏法」というマイクを抱え込んでハープを吹く奏法を世に知らしめ、ハープをブルースの主役にまで高めた革命児であります。
彼がいなかったら後々ロックにハープが使われることもなかったのではないでしょうか?
マディ・バンド時代のライブ音源がマディのベスト・アルバムのボーナス・トラックにありますが、「エレキ・ギターなんて目じゃないぜ!」って感じで鳥肌もんです。
ハープ奏者としては類を見ない天才ミュージシャンだったのですが、
ブルース・マンとしてはご多分にもれず「悪いおっさん」です。
ロバジョンが「女たらし王」なら、彼は「喧嘩王」でした。
毎日酒と喧嘩に明け暮れ顔は傷だらけ、その喧嘩が原因で38歳という若さでこの世を去っています。
(ジャケット写真を見ている限りは50歳くらいに見えるが・・・)
彼のハープの音は「悪い大人」の音であり「夜のシカゴの裏通り」の音なのです。
サニー・テリーの「青空とコットン・フィールド」の似合うカラッとした音とは対極にあります。
音色だけでなく音使いもカントリー・ブルースのそれとはハッキリ違います。
「どこがちがうの」って?
そんなもん自分で確かめなさい。
ちなみにこちらのハープ教則本の中のに「オフ・ザ・ウォール」のスコアがあります。